さて、前回「ビースターズ」11巻で食殺事件の犯人・リズを倒したレゴシは、学園を出て社会人として自活を始めました。
住まい・仕事・隣人との関係構築と着々と住環境が整ってきますが、一方で食殺の禁断症状と、ハルやルイに会えないし触れられないことに苦しみます。
身体的にも精神的にもつらい状況のレゴシの元に、友達や家族がやってきます。
社会人として新生活を始めたレゴシは、今後どういう大人になっていくのでしょうか。
さて、12巻のネタバレ、まとめていきましょう!
ビースターズ第98話「 20年後の自分と目が合った」
取調室で大豆かつ丼を平らげるレゴシ。
刑事は、友達の証言から微罪処分で済んだけれども”食殺前科”はつくことを告げます。
”食殺前科”によって、共学の大学や会社へは入れない上に草食との異種族婚ができなくなるという説明に、レゴシはひっくり返ってしまいました。
釈放されてすぐ本屋に直行し、異種族婚について調べます。
異種族婚は10年前から認められるようになったが前科持ちとの結婚は不可、顔に傷つけた前科持ち、ウサギに片思い中と八方塞がりの現状を再認識しました。
肉食専門の大学・会社に入り同種族と結婚した未来を想像してみるも、「そんなの俺じゃない」と学校をやめる決意を固めます。
場面は変わり、ハルの実家。家族と談笑する中、レゴシが訪ねてきます。
動揺しつつ友達が訪ねてきたとリビングに声をかける母と、「レッサーパンダのレイナちゃんね!!」と誤魔化しながらダッシュで玄関へ向かうハル。
はにかみながら「レッサーパンダのレイナです」と茶化すレゴシと、非常事態に冷や汗を流すハルと母なのでした。
ビースターズ第99話「 青毛の巨頭」
病室にて、最高級義足を発注したというオズマと礼をいうルイ。
父が金をかける時は怒っている時か褒めたい時だと、これまでの親子生活を思い出します。
複雑な感情を数字で伝えてくる父と、本気で向き合う覚悟を固めます。
オズマは事務的に今後のことを伝えた後、ルイの頭を撫でながら痛かったかと尋ねます。
そんな父にイブキの姿を重ね、眼鏡越しの吊り上がった目に小さい瞳孔に大人への憧れを見るルイでした。
場面は変わり、汗をかく警視総監は何者かに特殊食肉事件の報告をします。
ラフな対応を返す壮獣ビースター「ヤフヤ」に、なぜ目隠しをしているのかと尋ねました。
広すぎる視野を温存していざという時に全力疾走するためと答えるヤフヤは、レゴシの事件の報告書に目を止めます。
事件の背景に独特すぎる人生観を感じたヤフヤは、レゴシの動向を探ることにしました。
場面は変わり、レゴシとハルは公園のベンチに2匹で腰かけています。
学校をやめる理由も顔に傷が増えたわけも言ってくれないレゴシに拗ねるハルと、食肉を犯した自分はハルに触れてはいけないと頭を抱えるレゴシでした。
ビースターズ第100話「 満員電車がパンクすると」
高学歴・高収入・高級マンション暮らしの29歳・メスヒツジの「セブン」。
勤めているのはオス肉食獣が多い大手スポーツメーカーで、「ラム」という不本意なあだ名で呼ばれています。
残業上等で仕事をしていたところ、部長から身体能力劣るヒツジがスポーツ用品を売り込んでも説得力ないよねと、花形営業部から接待のマスコット要員に回されてしまいました。
絶望したセブンは満員電車の中で、都市伝説の「肉食獣と目を合わせて自分の頬を3回叩く= ”自分を食べてもいいよ” 」のサインをレゴシにします。
「失礼ですよ、それに肉食獣の乗っている車両は危険ですよ」と親切なレゴシに毒気を抜かれつつセブンは、身の丈に合った安アパートへ引っ越すために不動産屋へ向かいます。
ちょうど2部屋空いている物件があると、セブンと隣の席に座ったレゴシに勧める店員。
顔を見合わせ、驚くレゴシと青くなるセブンなのでした。
ビースターズ第101話「 居住条件:野良犬を拾うこと」
セブンとレゴシが越してきた「コーポ伏獣」は、築56年の6階建て、家賃2万5千円でフロなしトイレ洗面台共用、都心まで電車で10分、裏市まで徒歩10分という立地です。
食肉前科持ちの上、毎晩ドタドタうるさいレゴシを怖がるセブン。
顔を合わせた時に一応自己紹介するも、無視されてしまいます。
態度の悪さに腹を立てつつ、前科持ちだし友達もいないのねと思うセブンでしたが、ジャックたち犬仲間やビルたち演劇部員たちが代わるがわる訪ねてきます。
高校中退で社会性がないレゴシを心配するビルは、近所付き合いは大丈夫かと問います。
実はレゴシは肉の禁断症状に襲われていて、騒音に心配して訪ねてきたセブンを組み敷いてしまいました。
社会性を発揮しなければと焦ったレゴシは、電気の開栓とバイトの探し方を尋ねます。
その状況でも親切に教えてくれたセブンに、なぜ逃げない?と尋ねるレゴシと、「肉食獣がちゃんと名前で呼んでくれて嬉しかった」とほほ笑みかけるセブンでした。
ビースターズ第101話「 燃やし尽くした黒さなのか 彼の身体は」
ユキヒョウ一族が経営する牛乳工場「マイマイミルク」から話はスタートします。
”牛乳供給源”のメスウシは牛乳促進剤を飲まされ、体に負担をかけながら働いていました。
立ち入り検査で訪れた獣労管理局の管理官は、経営者たちを捻り上げ、追い詰めます。
管理官は変装した壮獣ビースターのヤフヤでした。
鋭い蹴りで貯蔵タンクを壊したヤフヤは小切手で修理代を払い、余ったお金で経営体制を立て直すように言います。
お互い敬いあって仲良いのが一番、と仕事終わりの牛乳を楽しむヤフヤでした。
ビースターズ第101話「 タネが撒かれれば雨が降る」
ベッドでまとわりついてくるメスのウマと、仕事に向かうヤフヤ。
道すがら36年前に思いを馳せます。
レゴシの祖父「ゴーシャ」とヤフヤは壮獣ビースター候補のライバルと目されていましたが、2匹が目指すのは「ビースターズ」でした。
ある日 2匹は襲われていたメスオオカミを助け、ゴーシャと彼女は付き合い始めました。
半年が経ったころ、ヤフヤに「彼女が妊娠した」と告げるゴーシャ。
卵生と胎生で子供ができる確率は500分の1、奇跡だと喜びます。
ビースターズはどうするというヤフヤに、ゴーシャは「俺とお前の進む道は分かれた」と告げました。
話は現在に戻り、レゴシの写真を見つめるヤフヤは、吊り目・下がり眉にゴーシャの面影を見ているのでした。
ビースターズ第102話「 致死量の愛はマーマレード」
ジャックの携帯に、レゴシの祖父からレゴシの居場所と学校をやめた経緯を尋ねる電話がかかってきます。
毒を持つ生物の異種族婚は認められておらず、戸籍上他人のゴーシャには学校からの連絡はありませんでした。
今こそゴーシャの支えが必要と、ジャックはレゴシの居場所を教えます。
場面は変わり、うどん屋で働くレゴシは上手くやれそうな手応えを感じていましたが、仕事終わりに裏市へ誘ってくる肉食獣の同僚に面食らいます。
大人の肉食獣たちは、レゴシが禁断症状で苦しんでいることを察していました。
適当に断り 家へ帰る道すがら、ハルやルイに会えない状況、異種族の絆を保つ難しさと孤独を噛み締めていると、アパートの前で待っていたゴーシャと目が合いました。
ゴーシャは黙って自分の毒をレゴシの口に含ませます。
独特すぎる挨拶に面食らいながらも、ゴーシャのハグを受け入れるレゴシ。
コモドオオトカゲの毒は同族には効かず、苦甘いママレードのような味がするのでした。
ビースターズ第103話「たべられる運命の男」
ルイに青獣ビースターになれと迫る学園長。
ルイは、この足を食った男がなるべきと断りますが、君らのとった行動はあまりに若く大人には刺激が強い、食肉を犯した生徒を学園のトップにするわけにはいかないと諭します。
結果、卒業式の答辞だけはすることになりました。
式後、事件現場を参るルイにジュノが声を掛けてきました。
レゴシといいルイといい、男の子はすぐ反社会的なことをしてバカみたいと憤りますが、話すうちにルイに惹かれていることに気付き、発作的にルイにキスをします。
身体を離したあと、混乱するジュノ。
異種族恋愛で苦しんでほしくないルイは突き放し、一人立ち去ります。
しかし、実は相当心揺さぶられていて、気の迷いだと必死で自分に言い聞かすルイでした。
ビースターズ第106話「 月光をも反射してしまう鱗の瞬きよ」
一つ布団で寝るゴーシャと幼いレゴシ。二人の間には暗黙のルールがあります。
飲食店では人気のないテーブルにつくこと、ゴーシャは専用カトラリーを持参すること、銭湯・プールなどは立ち入り禁止等、毒を持つコモドオオトカゲが差別対象ゆえのものです。
話は現在に戻ります。
レゴシの、何も悪いことしていないのに隅の席に座らなくていいという意見や小動物と話す様子を見て、ゴーシャは孫の成長に驚愕しつつ、お前の非行は私のせいだと嘆きます。
平和主義をずっと教えられてきたとレゴシは祖父の手をとり、2人の雰囲気もやっと明るくなってきたところに、「毒持ちはいい席をとるな」というチンピラに絡まれます。
喧嘩を買おうとするレゴシと孫の様子にショックを受けるゴーシャの元に、店員がやってきて その場は収まりましたが、店を出ると2匹は言い合いを始めます。
裏通りにいた2匹は 先ほどのチンピラのお礼参りを受けますが、レゴシがチンピラに押されたのを見て切れたゴーシャが、鋭い爪を繰り出します。
「”平和主義”大変結構、そしてそれは強い者が唱えてこそ意味を持つ」と説教の続きをしつつ敵を捻り上げるゴーシャ。
見たことない姿のはずなのに、ようやく祖父と再会できた気がすると汗をかくレゴシと、お前も手伝うか?と鋭く笑うゴーシャなのでした。
ビースターズ12巻のまとめと感想
レゴシの社会人生活編が始まりました。
ジャックたちやビルたちが訪ねて来る姿はとても微笑ましいですね。
隣人や同僚の大人たちにも恵まれて順風満帆、と言いたいものの、状況の変化と禁断症状でしんどいレゴシの元に、祖父が訪れたのには ほっとしました。
ハードな展開で忘れていましたが、レゴシはまだ17歳の若者でした。
隣人のサポートがある住まいと楽しめる仕事、友達の支えに加えて家族の存在があれば、今後も頑張っていけそうですね。
ただ「食肉前科」のせいでハルとの関係は詰んでしまいましたし、ルイとジュノも、食べられたことのある草食獣と肉食獣が関係を持つのは、社会的にNGなのでは?と思います。
今後のレゴシたちは、何を学び、何を得るのでしょうか?
次巻はどうなる?!
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