さて、前回「ビースターズ」9巻で食殺事件の犯人を特定したレゴシ。
今巻ではとうとう犯人・リズと直接対決します。
レゴシはピナやゴウヒンと話す中で、自分の考え・立ち位置を確立しつつ、仕切り直しになった決闘の準備を着々と整えます。
対してリズは、抑制剤の副作用やテムを食殺したことの正当化に苦しんでいる様子です。
大晦日の決闘で、リズは改心するのでしょうか?
レゴシは無事に勝つことができるのでしょうか?
さて、10巻のネタバレ、まとめていきましょう!
ビースターズ第80話「ほほえみの取捨選択」
「ルイって食べたら美味しいのかなぁ」と、2人ベッドに転がりながら話すハルとルイ。
ハルは「 安心するね、弱い者同士って」と言います。
学校にいた頃の夢を見ていたルイは、裏市の威怪薬の店に着いたところで起こされます。
威怪薬は生薬と肉食獣を素材にして作られる医薬品で、金銭的に追い詰められた肉食獣が身体を売り、身体的に追い詰められた金持ちの草食獣が望むものです。
店にいたヤギのおじいさんは、男性機能を取り戻して奥さんと関係円満になりたいと言います。
医者はワニの若者の性器を切り取りますが、瞬間 イブキがルイの目を塞ぎます。
イブキは18歳のボスは見なくていいと言いますが、ルイは厳しい世界で幼少期を過ごした、ヘラヘラ顔で育ったライオンとは違うと吐き捨てます。
2人きりになったイブキとルイ。
イブキは袖を捲って「疲労回復」と墨の入った腕を見せ、たった1匹で逃げてのし上がった、俺たちは似ているとルイに言います。
「弱い生き様がどれほど罪深いか」を実感しながら、ハルから着信のあったスマホを投げ捨て、イブキと飲みに出るルイでした。
ビースターズ第81話「漆の器が2つ並んだような眼」
病室で腕を吊っているアリクイのキビは、ドアの前から動かないクロヒョウのタオに話しかけます。
どうお詫びすればというタオにキビは自分の腕を触らせ、神経がつながったと報告します。
キビの「見舞いにきてくれてありがとう」という言葉に泣き崩れるタオ。
演劇部の面々はキビの回復に喜んでいますが、レゴシは見舞いに行こうかなというリズを睨み付けます。
リズの「草食獣への気遣いを怠った罪は重い」という言葉に力が入り、照明を壊した上 リズに掴みかかるレゴシ。
喧嘩寸前の雰囲気を和らげたのはピナでした。
場面は変わり、外のベンチに2人で腰かけるピナとレゴシ。
キレるのは無理ないというピナにレゴシは、リズの余裕ある振る舞いに圧倒的な差を感じたといいます。
「童貞と非童貞みたいな?」「近い!!」と、知っているか知らないかで見える世界が違うという話から、解決の糸口を掴んだと立ち去るレゴシ。
明日 性犯罪者としてレゴシが報道されても驚かないでおこうというピナなのでした。
ビースターズ第82話「 アクロス ザ ユニバース」
夜の森で虫を集めるレゴシ。集めた虫を生で食べるそうです。
昆虫食はダシをとったりと肉食獣が重宝するものですが、命を食べる罪悪感を避けるため、そのまま食べるものはあまりいない、とゴウヒンは言います。
草食獣はダメで虫はOKと思う自分は傲慢だと手を震わせるレゴシに対し、ゴウヒンは、お前は傲慢だがそれでいい、お前の闘争心は誰かのためにこそ強くなる、と肯定します。
虫を口にしたレゴシは精神世界にトリップし、食べた虫の成長した姿・蛾と対話します。
蛾は、「軽んじる、差別、罰、赦し」そんな言葉は昆虫には無意味であり、大切なのは命への敬意だと諭します。
「私を血肉とし運命と共にあれ、命は美しい」という言葉とともに、目を覚ましたレゴシ。
意識を失っていたのは10分程。
二度と食べないと呻くレゴシに、ゴウヒンは「鏡見ろ、良いツラしてるぜ」といい、すっかり元通りに毛が生えたレゴシの姿がそこにはありました。
ビースターズ第83話「 ただの抱擁は布団にでも託します」
場面は学校の洗面所から。
元通りに毛が生えたレゴシを見て不審がるジャック。
レゴシはワカメスープをたくさん飲んだと誤魔化します。
昆虫食時に見たの蛾の姿に、幻覚だったにせよ良い言葉を聞けたと思うレゴシでしたが、一方でハルのやらしい夢を見たと落ち込んでしまいます。
頭を抱えて机に突っ伏すレゴシの傍にはいつの間にかハルがいて、手を握っていました。
2匹きりで話したいことがあると移動したハルとレゴシ。
ハルはレゴシの父親みたいに振舞おうと努力する姿に、真逆の、甘えん坊であったルイを思い出します。
レゴシに「大好き」と抱き着く一方で、ルイが心配な心の内を伝えます。
ハルに「俺に任せろ、1匹たりとも不幸にはさせない」と宣言したレゴシは、ハルもルイも、リズさえも不幸にはさせないと自分に誓うのでした。
ビースターズ第84話「その手 乱気流 巻いて
更衣室に2匹きりのリズとレゴシ。
怖くないのかと問うリズに、捕食者の目で見ながら名前を呼ぶなと臨戦態勢に入るレゴシ。
迎え撃とうとするリズを副作用の頭痛が襲います。
薬の義務はつらいよなというレゴシに、リズは副作用のつらさ・ストレスが分かるかと問いかけます。
レゴシは獣性を抑えられなくなったリズに「自分の獣を全部見せろ」「テムの分も叩き潰す」と飛びかかりました。
リズの一撃を躱したレゴシでしたが、目の上をかすり血で視界を塞がれてしまいます。
レゴシの首根っこを掴んでシャワー室に運び込むリズ。
ここなら痕跡は残らないと、上着を脱ぎます。
一度食殺してしまうと罪悪感と餓えで自傷してしまうと、傷だらけの上体をさらしました。
「君と青春を取り戻す」と飛びかかったリズの一撃を躱し、「いいぜ、青春を楽しめよ、ただし古傷はえぐられるぞ」と傷の上に爪を立てるレゴシ。
古傷でなく大切な思い出、種族の壁を壊せるのは捕食だけと襲い掛かるリズに、レゴシは「種族の壁を壊せるのは愛だけだ」と返します。
脳裏によぎるのは、幼い自分と手を繋いで笑いかける、トカゲの祖父の姿でした。
ビースターズ第85話「僕らの血は下水でも分離しているだろうか」
戦場で名を上げるコモドオオトカゲ・ゴーシャの一枚絵からのスタート。
彼は圧倒的な強さ・身体の大きさから全種族から恐れられていたが、1匹のメスオオカミと恋に落ち、ある日突然姿を消したそうです。
12歳のレゴシは祖父・ゴーシャの噂は本当かと、本人に問いかけます。
異種族の結婚でさえ珍しいのに、爬虫類と哺乳類の一族など周りから見れば異様すぎる、祖父はどんな風にオオカミを好きになったのだろうと疑問に思うレゴシ。
「いい葬式だった」と穏やかな様子の祖父に、レゴシは、自分の娘が苦しんでいたのに何も思わなかったのか、と憤ります。
母が自殺したのは全部…と暴言を吐いてしまった時のことを思い出した17歳のレゴシ。
呆けているところにもリズの猛攻は止みません。
戦いが佳境に入ったところで、清掃のおばさんの鼻歌が聞こえます。
とっさに誤魔化したリズの姿になぜそんなに冷静でいられるのか、と思うレゴシ。
最後の一撃を組み合ってガードしたのち、大晦日に再戦の約束をして別れます。
場面は変わり、ゴウヒンの病院の屋上。
警察に突き出せばいいのにと笑うゴウヒンに、レゴシはごにょごにょと返します。
ゴウヒンは「納得いかねえ奴はぶっ倒す、17歳の男子なんてそれでいい」、今夜からまたキビしくいくぞと語りかけ、祖父にちょっと似ていると思うレゴシでした。
ビースターズ第86話「 この深淵に箒星」
スナギツネを診察するゴウヒンと、初めてオスに胸を触られたと目が濁るスナギツネ。
拘束具が外れた途端に駆け出すスナギツネを捕まえながら、ゴウヒンは「メスの患者だろうと容赦はしねえ」、ここは食殺獣専門の精神病棟だと告げました。
病室で治療を開始しようとするゴウヒンに、スナギツネは色仕掛けをします。
新しい逃避の仕方だと観察しながら押さえつけるゴウヒン。
スナギツネは大学に馴染めず、ウサギのホームレスに声を掛けられたことを思い出す…
場面は現在に戻り、レストランでディナーを楽しむ2匹。
「あの時、先生はそこで治療を止めてくれましたね」というスナギツネに、ゴウヒンは「お前の奥にある情の深さを見つけた」と、4か月の入院生活を労いました。
スナギツネのアイは、4か月間戦ってはなぐさめてもらって感情を取り戻した、一緒にいればいるほど食殺の罪悪感は強くなったと言います。
お前は二度と食殺を犯さない、大学に戻るなり働くなり思うがままにしろというゴウヒン。
アイは警察に出頭すると涙を流します。
どうせなら笑顔が見たかったというゴウヒンに、アイは先生に笑顔を預けると言います。
とびきりの笑顔じゃなきゃ承知しない、早くもどってこいと優しく言うゴウヒンでした。
ビースターズ第87話「新星、助演男優賞」
メスヒツジといちゃつくピナは、うっかり名前を別の女の子と間違えてしまいます。
最近調子が狂っているとトイレで毛並みを整えながら、今度演じる 死神に魂を取られる美少年の役と、肉食獣のジュノが演じる死神アドラーの配役に思いを馳せます。
用を足そうとするピナの背後にはいつの間にかリズがいました。
レゴシとは大晦日に決着をつける、レゴシを倒したあとはピナを頭から食べてしまうかも、と圧をかけてきます。
ピナは頭から食べるにはツノが邪魔だと茶化しますが、いきなり手を咥えられ、倒れてしまいます。
リズは、手からはちみつの匂いがしたからと軽い調子で謝り、去っていきました。
トイレの床で腰を抜かしてホッとする、生きたがりな自分を発見し、与えられた役に説得力が生まれたピナ。
迫真の演技に、悲喜交々の演劇部員たちでした。
ビースターズ第87話「淑女 大暴走」
裏市の酒場で、身の安全について語るイブキとルイ。
イブキがトイレに外すと、ルイの隣にブスめのメスが座ってきました。レゴシでした。
バーテンの勧めるカクテル「遠吠えレディ」を裏声で頼みます。
ゴウヒンの元嫁の服を着、「奥さんを思い出すか」と問うて、笹ボーガンを打たれかけながらやってきました。
「ぶっ殺さないと暴走し続けるのか」と憤るルイでしたが、イブキに気づかれてはまずいのでなんとか抑えます。
話をしたいレゴシ、どう痛めつけようか考えるルイ、このブスは止めてかわいいメスを紹介しようと逡巡するイブキ。
好奇心が勝ったルイはイブキに外すよう言い、イブキはルイのストライクゾーンの広さに驚き、レゴシは嬉しいと頬を染めます。
レゴシは食殺犯がリズだったこと、大晦日の決闘にルイを立会ってほしいことを伝えます。
女装で真剣な表情をするレゴシに笑ってしまうルイ。
レゴシは笑った=OKとみなすと走り去り、戻ったイブキはブスを振ったことが分かり安堵します。
「バカな奴」と呟くルイと、化粧を落とすレゴシ、星空の下で手を見つめるリズ。
三様の姿と「あと3日」の文字で話は終わります。
ビースターズ10巻のまとめと感想
食殺への思いを露わにし始めたリズと、自分の考えがはっきりしてきたレゴシ。
話すほどに不安定さが増していくリズと、祖父や食への考えが固まっていくレゴシの、対比がモロに現れた今巻でした。
レゴシの空回りもおかしな方向に安定したきた気がします。
自転車のギアがめっちゃ軽いけどスピードは結構出ている、みたいな?
また、着々とシシ組での立場を確立するルイ。
イブキとの信頼関係も築かれつつある状況で、組を抜けるのは中々難しそうです。
再び学校に戻ってくる展開はあるのでしょうか?
いよいよ対決の時が迫るビースターズ10巻!
次巻はどうなる?!
コメント